朝、いつもの黒いジャージ、黄色いジャンバーを着る。サングラスかける。このサングラスは鏡のように反射するダブルブリッジの形だ。家にある柄の長いほうきに登山用の熊鈴を取り付ける。マスクをしてジャンバーのフードをかぶる。朝7時15分頃家から出る。
家の前は通学路になっている。子供や学生たちが向かう方向と真逆の方向に歩き始める。道路を挟んで通学する子供達と向かい合う格好になる。手に持ったほうきを少し揺らし、チリンチリンと鈴が鳴るようにする。
私の頭部全体はマスクとサングラス、ジャンバーのフードで覆われている。サングラスはマスクから立ち上る蒸気で曇ってしまい、外の様子があまりよく見えない。しかもサングラスをしていても、じっと人々の様子を観察するのはなぜか勇気がいる。